私の7割はエンタメでできている

発達障害と診断された自分がエンターテイメントに触れて、感動したことをレビューとして綴ります。

式波アスカの"運命を仕組まれた"行動について

(いきなりネタバレを含みます。ご了承ください)

 

 

今回のシン・エヴァンゲリオン劇場版で、

“運命を仕組まれた子供“というキーワードの意味がわかりました。

 

その言葉通り、感情や行動をネルフに制御された(仕組まれた)子供であり、

歳を取らない(外見が変わらない)上に、

 

綾波レイの名台詞

「私が死んでも、変わりはいるもの」がアスカにも適用されていることが描かれています。

 

 

アスカの名字が惣流から式波に変わったのは、性格の違いなどもありますが、

最も大きい理由はこのアスカの設定の変更なのではないかと思われます。

 

では、

 

新劇場版:破で描かれた式波・アスカ・ラングレーの一連の行動は“運命を仕組まれた行動“だったのか、

 

少し考察してみたいと思います。

 

 

テレビ版と物語が大きく変わる分岐点となった第9の使徒戦。

 

テレビ版ではシンジの友達である鈴原トウジエヴァパイロットに選ばれ、

使徒の精神汚染の犠牲になるという話でしたが、

 

新劇場版:破では、式波アスカが犠牲になったことで、

アスカは体内に第9の使徒を宿したまま幽閉されます。

 

 

新劇場版:Qに登場した左目に眼帯をつけた式波アスカは、その左目に

使徒の力を封じ込める(人の姿を保っていられる)装置を埋め込まれています。

アスカは今作の劇中で、その装置を自ら外し、マリ曰く

“人を捨て、使徒の力を使って“13号機を封じ込めようとするのですが、

これが“ゲンドウくん“の目的で、

使徒と化したアスカはフォースインパクトの贄にされてしまいます。

 

さて、ここまでおさらったところで、今一度「新劇場版:破」に話を戻します。

 

 

新劇場版:破では、綾波レイ

碇シンジとゲンドウを近づけるための食事会“を計画します。

その食事会の日程が、“エヴァ3号機の搭乗実験“の日程と重なり、

気を使ったアスカが実験に参加するパイロットとして自ら志願します。

 

ここからは私の考察ですが、

実験の日が食事会と重なることがなければ、

“そもそもアスカがパイロットとして志願する理由“が生まれないため、

アスカが使徒に浸食されることがなくなります。

そうなると今作の展開はまた別の結末を迎えていたということになるのですが、

 

この展開は、碇ゲンドウにとって“計画通り“だったのか?

 

そこが疑問に思えてきてもう一度「破」を見直したところ...

 

エヴァ3号機はゼーレから半ば強引に渡されていたことから、

バチカン条約に沿ってユーロネルフによって

エヴァ2号機は封印されてしまいます。

よってアスカの“世界で唯一の私の居場所“が無くなります。

エヴァを封印された式波タイプのとる行動が、

“他のエヴァに乗る“

だったのかどうかはわかりませんが、

アスカが3号機に乗る条件は揃い、結果

アスカは実験に志願、使徒に浸食されます。

 

実験施設を爆破された直後、ゲンドウは食事会の予定を中止、

厳しい表情で車をUターンさせ本部へ戻り指揮を取ります。

そこで出た一言「初号機はダミープラグに換装」

 

この一言で思ったのは、

“シンジが、これから戦うことになる使徒の中にアスカがいることを知って

戦えなくなることをゲンドウはわかっていたのではないか“ということです。

冬月副司令もこの3号機に使徒がいることを予測していたようなので、

ここに式波タイプを潜り込ませておくことで、

人類補完計画に必要なコマと化した。。。

そして、新2号機がこの行動を取ると予想し、

あらかじめ13号機の中にはカヲルと、オリジナルのアスカの2人を忍ばせておいた...

(これが「シングルエントリーじゃなかったの?」の言葉の意味?と思われます。)

完全に式波アスカは運命を仕組まれ、ゲンドウの手のひらで躍らされているように感じます。

 

 

新劇場版最大の伏線はこの

“アスカが第9の使徒に浸食されること“だったのかと思うと、

シン・エヴァンゲリオン劇場版で最も盛り上がったシーンであったのも納得ですし、

たとえ旧劇場版と伝えたいことは同じだとしても、

新しく劇場版4部作を作り直したかいがあったなと思います。